北海道といえば、やっぱり美味しいグルメ。お寿司にジンギスカン、カレースープ、そして味噌ラーメン。「いや、ベタだなぁ!」と突っ込まれそうだが、旅行とか、そういう時にはベタな選択をするのが一番だ。
Googleのレビューからグルメサイト、YouTubeまで、ありとあらゆる媒体を使って「一番美味しい味噌ラーメン」を調べ上げた。そしてたどり着いたのが「らーめん信玄」さん。多くのサイトで「日本一の味噌ラーメンが食べられる」と絶賛されていたお店だ。

訪れたのは札幌市内にある「南6条店」。午後10時だというのに店の前には大行列。並ぶとは聞いていたが、まさかここまでとは。この日の気温はマイナス2度。雪は幸い降っていなかったが、一杯のラーメンのためにこの寒い中何時間待たないといけないんだろう、というちょっとした恐怖感と、これだけ並んで食べる味噌ラーメンってどんなに美味しいんだろう、というワクワク感を半分ずつ抱えながら、列の最後尾についた。
どこ行くにも大抵“ひとり旅”な僕だが、今回は北海道に住んでいる友達も一緒だった。「日本一美味しいってちょっと持ち上げすぎじゃない?」「並んでいる途中で閉店時間になってしまったらどうなるんだろう」たわいもない話を2人でしながら待った。ラーメンへの高揚感と人気店に並んでいるという優越感ではじめの30分はあっという間に過ぎた。しかし50分経ったあたりから行列が思ったより進まないことに気づき始め、心の中に「列から抜けて帰る」という、並び始めた頃には当然なかった新たな選択肢がふわっと出てくる。それでもこの行列から何か学べることがあるに違いない、と自分を鼓舞し、待ち続けた。
そういえばラジオで似たような話をオードリーの春日さんがしていた。ラーメンチェーン・天下一品の一日限定5食「超こってり」を食べるために2時間前にお店に行ったが、結局5人目が来たのが開店の30分前だった、というもの。春日さんと同じようにラジオブースで自分の体験談を話す姿を想像して、少しにやけた。ちなみに僕は高校生の時からリトルトゥース(オードリーのオールナイトニッポンのリスナーのこと)だ。
結局お店に入れたのは並び始めてから2時間後の午前0時過ぎ。閉店前1時間を切ったところだった。

注文したのは「らーめん信玄」のシグネチャー(看板メニュー)、「信州(コク味噌)」と「チャーハン」。いざ、着丼。確かに美味しい。日本一と言われるだけある。でも誰だって真冬の北海道の外で2時間、しかも日が照っていない夜の2時間、しかも並び始めた時にはすでに空腹だった、しかも並んでいる間中ラーメンのことを考えていた、状態で食べるラーメンは、たとえそれがカップ麺でも日本一美味しいと言うだろう。だから本当のところはそれが「日本一」なのかはわからない。
朝日新聞の「天声人語」みたいに粋な締めくくり方で記事を終えたいのだけれど、今回は「北海道の大人気ラーメン店に2時間並んで味噌ラーメンを食べたが、本当に日本一かどうかはわからなかった」という何のオチもない話になってしまった。お許しください。
今日も読んでいただきありがとうございました。
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